東京都港区の税理士法人 あいわ税理士法人/あいわAdvisory株式会社

 
お問い合わせ

ニュースレター・コラム

コラム2012.11.1

【コラム】国外財産調書提出制度の創設

筆者:飯塚

平成24年度税制改正により、国外財産調書の提出制度が新設されました。以下、制度の詳細について、ご紹介いたします。

制度趣旨

国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが増加傾向にある中で、国外財産に対する把握体制が強化されています。その一環として、適正な課税・徴収の確保を図るため、国外財産を有する個人に、その有する国外財産につき、調書の提出を求める制度が創設されました。

制度内容

日本の居住者が、その年12月31日時点において、合計5,000万円超の国外財産を有する場合には、その国外財産の内訳明細(国外財産調書)を、翌年3月15日までに、所轄税務署長まで提出しなければならないという制度です。

  • 居住者とは、日本国内に住所を有する又は継続して一年以上居所を有する個人をいいます。
  • 国外財産とは国外にある全ての財産をいい、「国外にある」かどうかの判定は、財産の種類ごとに行います。(例:「動産又は不動産」はその動産又は不動産の所在、「預金」はその預金の受入営業所の所在、「株式」は発行法人の本店等の所在)
  • 国外財産の価額は、12月31日時点の時価又見積もり価額など時価に準ずる価額となります。
  • 国外財産調書の記載内容は、財産の種類・用途・所在地・数量・価額などとなります。


なお、法施行後最初の国外財産調書の提出期限は、平成25年12月31日における国外財産の保有状況を記載し、平成26年3月17日となります。

所得税の財産債務明細書との関係

一定の所得金額の合計が、2,000万円を超える場合には、財産債務の明細書を提出する義務があります。国外財産を5,000万円超有している場合には、この明細書と国外財産調書との記載内容が重複するため、国外財産の明細については、国外財産調書のみに記載し、財産債務の明細書には国外財産の記載は必要ないこととされています。記載内容の一部が免除されるのであって、両方の提出が必要となりますので、留意する必要があります。

虚偽記載や提出をしない場合の罰則

虚偽記載をした場合又は正当な理由もなく提出期限までに提出をしなかった場合には、一年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。ただし、期限内に提出しなかった者は、情状により、その刑を免除することができるとされています。この罰則規定は、平成27年1月1日以降提出分から適用となります。
なお、財産債務明細書は提出義務は課されていますが、罰則規定は定められていません。
これに対し、国外財産調書の提出については、罰則規定が定められているため、期限内の提出及び適正な記載内容に留意する必要があります。

過少申告加算税・不申告加算税の特例

修正申告等を行った場合には、修正申告等により納付する本税について10%又は15%の過少申告加算税、15%又は20%無申告加算税が課されます。

  • 優遇措置
    国外財産に係る所得税又は相続税について、申告漏れが生じた場合であっても、事前に提出期限内に国外財産調書を提出した場合には、過少申告加算税・無申告加算税が上記の%からそれぞれ5%軽減されます。
  • 加罰措置
    国外財産に係る所得税について申告漏れが生じた場合において、提出期限内に国外財産調書が提出されていない場合、又は提出された国外財産調書に申告漏れの起因となる国外財産の記載がない場合には、過少申告加算税・無申告加算税が上記の%からそれぞれ5%加重されます。
ニュースレター・コラム一覧へ戻る