東京都港区の税理士法人 あいわ税理士法人/あいわAdvisory株式会社

 
お問い合わせ

ニュースレター・コラム

コラム2013.12.1

【コラム】国外財産調書提出制度の適用開始

筆者:石川裕子

早いもので今年も残すところ1カ月余りとなりました。そこで今回は、平成26年より適用が開始される「国外財産調書提出制度」について、新しい情報を交え改めてご案内します。

制度内容

その年12月31日において、合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までに、その国外財産の内訳明細(財産の種類・用途・所在地・数量・価額など)を記載した国外財産調書に国外財産調書合計表を添付して、所轄税務署長に提出する必要があります。

  • 居住者とは、日本国内に住所を有する又は継続して一年以上居所を有する個人をいいます。このうち非永住者は除かれますので、過去10年以内に日本に住所等を有していた期間の合計が5年以下の日本国籍を持たない者は提出を要しません。
  • 対象となる資産は、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて」とされています。よって、預貯金・不動産・有価証券だけでなく、貴金属類(1点10万円未満のものを除く)・預託金・ストックオプションなども対象となります。

なお、適用初年度となる平成25年12月31日分の国外財産調書の提出期限は、平成26年3月17日となります。

国外財産とは

国外財産とは、その年12月31日において「国外にある財産」とされています。例えば、預金については、その預金の受入をした営業所(支店等)の所在地、不動産については、その不動産等の所在地、金融機関の口座で管理されている有価証券等については、その口座管理をする金融機関の営業所等の所在地で判断されます。よって、日本国の法人が発行した株式が海外の金融機関で管理されている場合には、国外財産調書に記載する必要があります。

記載する価額について

記載金額は、「時価」又は「時価に準ずる価額の見積額」とされています。「時価」とは、不特定多数の当事者間で通常取引される価額をいい、専門家による鑑定評価額や金融証券取引所の公表する12月31日時点の最終価格をいいます。「見積価額」については、財産の種類ごとに算定方法が明らかにされており、例えば固定資産税評価額など公的機関が示す価額や売買実例価額などが挙げられています。
なお、外貨金額で表示されている財産については、その者の取引金融機関のその年12月31日における最終の対顧客直物電信買相場(又は準ずる相場)で換算します。

罰則規程

虚偽記載により提出をした場合又は正当な理由もなく提出期限までに提出をしなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。ただし、期限内に提出しなかった場合には、情状によりその刑を免除することができるとされています。なお、この罰則規定は、平成27年1月1日以降提出分から適用となります。
また、国外財産に関する所得税や相続税の申告漏れが発生した場合において、期限内に提出された国外財産調書に記載されている財産については、過少申告・無申告加算税が5%軽減されます。一方、国外財産調書の提出がされていない場合やその記載が不十分とされた場合には5%が加重されます。

おわりに

「国外財産調書提出制度」には、罰則規定が設けられていることから、期限内の提出及び記載漏れに留意する必要があります。特に、国外財産の価額が5,000万円前後である場合には、換算レートの変動によって提出義務の判定が左右されることも考えられますので、毎年余裕をもって準備をしておきたいところです。
ご自身の所有する財産が国外財産に該当するか否か、また金額の算定方法についてご不明な点がございましたら、事前に弊社までご相談ください。

ニュースレター・コラム一覧へ戻る