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コラム2014.4.1

【コラム】4月1日をまたぐ取引への対応

筆者:佐々木 泰輔

消費税率引上げを控え、価格転嫁や表示の問題、システム対応など、引上げに向けての検討、準備を経て4 月1 日を迎えることと思います。各社のホームページや報道によれば、4 月1日以後の売上について、一律3%の転嫁、一部の商品につき転嫁、価格据置などその対応も様々となっています。
その中でも事業者が頭を悩ませたであろう4 月1 日をまたぐ商品の販売について、報道等で公表された事業者が実際に行う対応をもとに適用税率の取扱いについて解説します。

原則的な取扱い

商品の販売においては、経過措置の適用があるものを除いて、その「引渡日」における税率が適用されることになります。したがって、引渡しが3 月31 日までに行われるものは5%売上、4 月1 日以後に行われるものは8%売上となります。なお、「引渡日」は出荷基準や検収基準など、事業者にとって合理的と認められる計上基準によることになります。
3 月31 日に出荷し、相手方で4 月2 日に検収される取引の場合で、事業者が出荷基準によっているときは、その引渡日は3 月31 日(5%売上)、検収基準によっているときは、その引渡日は4 月2 日(8%売上)となります。
これらの基準の変更は、合理的な変更がない限り認められるものではありません。消費税率の引上げに伴う計上基準の変更は合理的とは認められないと思われます。

3 月31 日までに注文があった場合

商品の販売につき、3 月31 日までに契約、注文、代金精算済みで、4 月1 日以後に引渡しを行うものにつき消費者からは5%分の税込対価を徴収することとしている事業者も見受けられました。
「3 月31 日までのご注文につきましては、消費税率5%で計算された価格とします」事業者がこのような対応を取る場合であっても、4 月1 日以後の引渡しであるため、消費税法上は8%売上として認識する必要があります。差額の3%分は実質的に本体価格の値引きに該当することになります。

事業者の都合により納品が遅れる場合

ある自動車メーカーでは、3 月末までに納車する予定で購入者から注文を受けたものの、リコールの発生により、納車日(引渡日)が4 月1 日以降となってしまう事態が想定されているそうです。このメーカーでは4 月1 日以降の納車となった場合、原則通り、8%の税込対価で販売するものの、差額分の3%をメーカーが肩代わりし、迷惑料として販売店を通じて購入者に支払うこととするようです。
この場合、メーカーでは車両の販売は8%売上となり、迷惑料として支払う分については、その内容により売上値引き又は損害負担金として処理することになると思われます。

24 時間営業の店舗

24 時間営業のコンビニエンスストアやファミリーレストランなどでは、4 月1 日午前0 時をまたぐ販売等について、その対応が分かれています。
あるコンビニエンスストアでは、4 月1 日午前0 時をもって消費税率を8%とするものの、消費者が複数の商品を購入する場合には3 月31日午後11 時59 分59 秒までに最初の商品をレジに通したものについては、2 つめ以降の商品が午前0 時以後にレジを通ったとしても、その商品代金のすべてについて5%を適用するようです。
この場合には、最初の商品がレジを通った3月31 日が引渡日として、消費税法上も5%売上として認識して差し支えないと思われます。

このように、特に4 月1 日をまたぐ売上に係る消費税率については、事業者側も8%売上となることは認識しつつも、取引当事者(事業者、消費者)の混乱、トラブルの防止などのため、あえて消費者からは5%分しか徴収せず、差額分は会社負担とする対応も多く見られます。
貴社の対応につきましても、今一度ご確認いただき、消費者から徴収する税率と消費税法上、適用すべき税率につき異なる売上がある場合には、消費税の申告上、適用税率に誤りのないよう、ご注意ください。

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