東京都港区の税理士法人 あいわ税理士法人/あいわAdvisory株式会社

 
お問い合わせ

ニュースレター・コラム

コラム2016.8.1

【コラム】リストリクテッド・ストック(RS)第2回

筆者:中村 俊介

制度について

平成28年度税制改正において役員報酬の損金不算入制度の見直しとして、役員に対する一定の譲渡制限付株式(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)が、事前確定届出給与の範囲に含まれることが明確化されました。これに伴い6月に、経済産業省が導入の手引きを更新しており、制度に関する詳細が公表されております。
損金算入をするための要件を大別すると、以下の2つとなります。

  • 特定譲渡制限付株式に関する要件
  • 事前確定に関する要件

今回のニュースレターでは、上記二つの要件を説明します。

特定譲渡制限付株式に関する要件

リストリクテッド・ストックにつきましては、「特定譲渡制限付株式」が役員等に交付されることが要件とされていますが、「特定譲渡制限付株式」について法人税法では以下の4つの全ての要件を満たすことが必要とされています。

  • 一定期間の譲渡制限が設けられている株式であること
    (詳細)譲渡制限期間について、中期経営計画の対象期間のサイクルと一致させて3~5年といった期間を設定すること等が考えられます。
  • 法人により無償取得(没収)される事由として勤務条件又は実績条件が達成されないこと等が定められていること
    (詳細)役員等が「譲渡制限期間の所定の期間勤務を継続しないこと」、「勤務実績が良好でないこと」といった『役員の勤務状況に基づく事由』や「法人の実績があらかじめ定めた基準に達しないこと」といった『法人の業績等の指標の状況に基づく事由』に限られます。
  • 役務提供の対価と引換えに交付される株式等であること
    (詳細)役員等に生ずる役務提供に係る債権の現物出資(現金を出資する代わりに物を出資することをいいます。リストリクテッド・ストックの場合、役員の将来の役務の提供に係る支給額を債権として出資します。下記イメージ図参照。)と引換えに交付されるその法人またはその法人の100%親法人の譲渡制限付株式等をいいます。


  • 役務提供を受ける法人又はその法人の100%親法人の株式であること
    (詳細)役員等が業務に従事する法人の親会社が純粋持株会社の場合等、親子間が事実上一体となっている場合に、子会社の役員等に親会社の株式を交付するニーズがあることを踏まえ、その法人の100%親法人の株式についても対象とされています。

事前確定届出給与に該当する「特定譲渡制限付株式による給与」となるための要件

役員の職務執行開始当初に、その役員の職務執行期間に係る報酬債権の額(イメージ図①)が確定し、所定の時期までに、役員がその報酬債権を現物出資と引換えに譲渡制限付株式が交付される必要があります。そのため、職務執行開始当初にその報酬債権の額が確定せず、実際の勤務状況や業績状況に応じて、報酬債権の額が決まる場合には、事前確定届出給与に該当しません。
また、当制度を適用する場合には、特定譲渡制限付株式の1株当たりの交付時の価額、交付数、その事業年度において譲渡についての制限が解除された数等に関する明細書を確定申告書に添付する必要があります。

終わりに

リストリクテッド・ストックは事前確定届出給与として損金算入できることとなりましたが、制度を取り入れたにも関わらず法人税の税務メリットがとれないことがないよう、交付する株式が要件に該当するか、また、職務執行の開始当初に報酬額が確定できているか等、事前に確認をすることが重要となります。また、譲渡制限の定めを付す方法等、会社法の手続きを事前に確認する必要があります。

ニュースレター・コラム一覧へ戻る